No.938204

九番目の熾天使・外伝 ~改~

竜神丸さん

βテスト番外 バーチャルオペレーションズ スニーク編

2018-01-20 03:53:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:9621   閲覧ユーザー数:3594

ミッドチルダ首都クラナガン、荒廃都市区画。

 

そのとある廃病院にて、仮面ライダースニーク―――刻秋水はある人物と対面していた。

 

「アンタか……例の餓鬼から奪った魔力なら、このガシャットの中にある。持って行くんなら好きにしろ。アンタの言う通り、あの餓鬼は俺から見ても危ういなんてもんじゃねぇしな」

 

旅団ナンバーズの一員・ディアーリーズから奪った魔力で完成したマジカルザウォーロックガシャット。秋水はそのガシャットを目の前の人物に軽く放り投げて渡した後、それと引き換えに秋水の手にある物が投げ渡される。それを見た秋水は面倒臭そうな表情を浮かべる。

 

「……おいおい、俺のガシャットに対する適性を改めて確認しておきたいだと? 何で今頃になってそれを伝えやがるんだよ、全く……」

 

投げ渡されたのは、最新型のVRゴーグルだった。秋水は面倒臭がりつつも、手に取ったVRゴーグルを自身の頭に装着し、近くの診察台の上に寝転がる。

 

「こういうのは早く終わらせるに限る。さっさと始めろ」

 

≪ガシャット!≫

 

彼がそう言うと共に、謎の人物も秋水から受け取ったステルスミッションガシャットをとある装置に装填。バグスターウイルス適性能力のデータ収集が開始される。

 

≪ゲームスタート!≫

 

開始の音声が鳴ると同時に、秋水の意識はゲームの世界へと飛ばされていく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……久しぶりだな、ここに来るのは」

 

ゲーム世界に意識を飛び込ませた秋水。目を開けた彼が立っているのは、とある狭い路地裏。そして秋水の目の前には、数体のバグスター戦闘員が姿を現した。

 

「「「ゲッゲッゲッ……!」」」

 

「そうだそうだ、そういえばこういう感じだったなぁ。懐かしいぜ」

 

ここから、刻秋水・仮面ライダースニークの適性診断が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1:ガシャットのボタンを押す

 

 

 

 

「ガシャットを持つ時は右手で、親指で起動だ」

 

≪ステルスミッション!≫

 

「まずはガシャットを起動しなきゃ始まらねぇって事だ」

 

ステルスミッションガシャットの起動と共に、秋水とバグスター戦闘員の周囲にゲームエリアが広がっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2:ゲーマドライバーを装着

 

 

 

 

「変身に必要なのはガシャット、そしてこのゲーマドライバーだ」

 

秋水は左手に持っていたゲーマドライバーを腹部に持って行く。ゲーマドライバーからベルトが飛び出し、秋水の腹部に巻かれる形で自動的に装着される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3:首を一度だけ回した後、ガシャットを構える

 

 

 

 

「あぁ~……ま、これは俺が意識を切り替えるのにやってるだけだ。あんまり深い意味は無い」

 

秋水は目を閉じてから首を回し、首の骨をゴキゴキ鳴らす事で意識を切り替える。そして開いたその目は、先程までの怠惰な物とは違い、戦士としての目付きに切り替わっていた。

 

「さて、始めるぞ……」

 

秋水は右手に持っていたガシャットを半回転させ、何時でもゲーマドライバーに装填できるように構える。これで準備は完了だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4:ガシャットをドライバーに装填

 

 

 

 

「……変身!」

 

≪ガシャット!≫

 

ゲーマドライバーにガシャットが装填される。秋水の前には複数のパネルが出現し、秋水は目の前に現れたパネルを左手で殴るように選択。

 

≪レッツゲーム! メッチャゲーム! ムッチャゲーム! ワッチャネーム?≫

 

≪アイム・ア・カメンライダー!≫

 

「ふぅ……これより、任務(オペ)を遂行する」

 

秋水の姿が変化し、ゆるキャラのようなボディをした戦士―――仮面ライダースニーク・ミッションゲーマーレベル1への変身が完了された。それを見たバグスター戦闘員達は手に持っていた槍を一斉に構え出す。

 

「「「ゲゲゲゲゲ…!」」」

 

「おいおい、慌てるなよ。ステルスアクションゲームのライダー……スニークの任務(オペ)はここからが本番だからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5:レバーを引いてレベル2へ

 

 

 

 

「第2段階、突入……!」

 

≪ガッチャーン! レベルアーップ!≫

 

スニークはゲーマドライバーに付いているピンク色のレバーを開き、レベルアップを開始する。

 

≪潜めミッション! 隠れろミッション! ステルスミッション!≫

 

「……はっ!!」

 

レベルアップ音声と共に、スニークのボディ装甲がパージされ、その中から通常の人間型のボディが出現。先程までのレベル1の顔は背中に残り、スニークはステルスアクションゲームの能力を持つ戦士―――ミッションゲーマーレベル2の姿へとレベルアップを完了した。

 

「見せてやるよ、レベル2の力を……!」

 

「「「ッ!? ゲ、ゲゲ……!?」」」

 

スニークはすぐさま物陰に姿を隠し、バグスター戦闘員はその後を追おうとする。しかしバグスター戦闘員が曲がり角を曲がった先には、既にスニークの姿は消えてなくなっており、バグスター戦闘員達は慌ててスニークを探し始めた。

 

「おいおい、俺はこっちだぜ……?」

 

そんなバグスター戦闘員達の様子を、建物の屋上まで跳躍したスニークが見下ろしている事に、バグスター戦闘員達は気付かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6:ガシャットをキメワザスロットホルダーに装填

 

 

 

 

「……まぁ良い、そろそろ締めに入るとするか」

 

≪ガシャット! キメワザ!≫

 

スニークはゲーマドライバーからガシャットを抜き取り、左腰に付いているホルダーに装填する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7:ホルダースイッチ、オン!

 

 

 

 

ホルダーの横に付いているボタンを押し、エネルギーのチャージが始まる。スニークの右足にはどんどん強力なエネルギーが収束していく。

 

「敵に気付かれる事なく、敵を即座に仕留める……これがステルスアクションゲームって奴だ」

 

スニークがもう一度ホルダー横のボタンを押し、必殺技が発動される。

 

≪STEALTH CRITICAL STRIKE!≫

 

「ふ……!」

 

スニークが跳躍すると共に、スニークのボディが透明化。そのまま勢い良く急降下し、未だにスニークを探しているバグスター戦闘員達に向かってライダーキックを繰り出した。

 

「「「グゲェーッ!?」」」

 

そして最後までスニークの居場所に気付く事なく、バグスター戦闘員達はスニークのライダーキックを喰らい跡形も無く爆散。爆風が収まる中、そこにはスニークだけが立ち尽くしていた。

 

≪会心の一発!≫

 

「……ま、こんなところだ」

 

音声が鳴り響くと共に、適性診断は終了。スニークの意識は再び薄れて闇へと消えていく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ん、終わったな」

 

そして廃病院。意識が戻った秋水は診察台から起き上がってから、頭に着けていたVRゴーグルを取り外し、目の前の人物へと投げ返す。

 

「たく……いつも俺は実験台扱いだ。俺を復活させてくれたのは素直に感謝してるがなぁ、少し人使いってもんが荒過ぎるんじゃねぇのか? どうなんだオイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今更な発言だな。俺に協力すると言ったのは他でもない……刻秋水、お前自身だろう?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋水の目の前に立っている人物―――黒騎士は、秋水から投げ返されたVRゴーグルと、彼が回収したマジカルザウォーロックガシャットをスーツケースに収納していく。

 

『お前はただ、ゲーム病を患った患者達を直す事と、俺が出す仕事を引き受けてくれればそれで良い。余計な事まで知る必要は無い』

 

「……いつも通りの発言をどうも。用が済んだならとっとと帰れ。俺はなぁ、こう見えても闇医者としての仕事で結構忙しいんだよ」

 

『……気を付ける事だな』

 

「あ?」

 

暗部(・・)の連中も、お前と同じゲーマライダーを誕生させた。近い内にお前はそいつ等と対面する事になるだろう』

 

「……!」

 

『忠告はしたぞ』

 

それだけ告げて、黒騎士は一瞬でその場から姿を消す。部屋に一人残された秋水は、溜め息をつきながら再び診察台へと仰向けに倒れ込んだ。

 

「はぁ……アンタに言われなくてもやってやるさ」

 

秋水は右手に持ったステルスミッションガシャットを見つめる。

 

「奴等の計画は、何としてでも俺が阻止してやる……あんな思いをするのは、俺一人で充分だ」

 

その小さな呟きは、誰に聞かれる事も無く静かに消えていく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued…

 


 
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